「自宅の住所を開業届に書きたくない」という理由で、バーチャルオフィスを検討している個人事業主の方もいるでしょう。
結論から言うと、バーチャルオフィスの住所を事業所等として開業届に記載する方法があります。ただし、自宅とバーチャルオフィスのどちらを納税地にするかによって、住所欄の書き方は変わります。
この記事では、開業届に自宅とバーチャルオフィスの住所をどう書き分けるのか、どちらを納税地にするのかという判断から、開業後に住所や納税地を変更する場合の手続きまで解説します。
💡この記事でわかること
【結論】バーチャルオフィスの住所は開業届に使える
バーチャルオフィスの住所は、開業届に記載できます。個人事業主の納税地には「住所地」「居所地」「事業所等」があり、バーチャルオフィスは事業所等の所在地として記載します。ただし、契約しているサービスが事業用住所としての利用を認めていることが前提です。
また、士業や人材紹介業など、事務所の設備や独立性が許認可の条件になっている業種では、バーチャルオフィスの住所だけでは許認可の要件を満たせない場合があります(詳しくは後述のバーチャルオフィスを開業届・納税地に使う際の注意点で解説します)。
納税地は自宅とバーチャルオフィスどちらにすべき?

個人事業主の納税地は、原則として自宅の住所地です。ただし、事業所等が別にある場合は、その所在地を納税地にする方法もあります。
自宅を納税地にする場合
自宅を納税地にすると、確定申告などの提出先は自宅を管轄する税務署になります。自宅を基準に税務手続きを進めたい方には、わかりやすい方法です。
バーチャルオフィスを納税地にする場合
バーチャルオフィスを事業所等として利用できる場合は、その所在地を納税地にする方法があります。確定申告などの提出先は、バーチャルオフィス所在地を管轄する税務署になります。
ただし、バーチャルオフィスを納税地にしても、確定申告書には自宅の住所を記載する欄があります。
自宅住所を公開したくないことと納税地は分けて考える
自宅住所を公開したくないからといって、必ずバーチャルオフィスを納税地にする必要はありません。納税地を自宅にしても、自宅住所が一般公開されるわけではありません。
開業届の住所欄の書き方

開業届には「納税地」欄と「上記以外の住所地・事業所等」欄があります。どちらに何を書くかは、自宅とバーチャルオフィスのどちらを納税地にするかで変わります。
自宅を納税地にする場合の書き方
自宅を納税地にする場合は、「納税地」欄に自宅住所を記載します。バーチャルオフィスを事業所等として利用している場合は、「上記以外の住所地・事業所等」欄にバーチャルオフィスの住所を記載します。
バーチャルオフィスを納税地にする場合の書き方
バーチャルオフィスを事業所等として納税地にする場合は、「納税地」欄にバーチャルオフィスの住所を記載します。自宅が別にある場合は、「上記以外の住所地・事業所等」欄に自宅住所を記載します。
「上記以外の住所地・事業所等」にはどの住所を書くか
「上記以外の住所地・事業所等」欄には、納税地とは別に住所地や事業所等がある場合、その住所を記載します。経費計上のために使う欄ではありません。
個人事業の開業届はいつまでにどこへ提出するか
開業届の提出期限・提出先・提出方法を確認しておきましょう。
開業届の提出期限は「確定申告期限まで」
2026年1月1日以降に開業した場合、開業届の提出期限は事業を開始した年分の所得税の確定申告期限までです。以前は「開業から1か月以内」でしたが、提出期限が変更されています。
出典:国税庁「開業する場合」
提出先は納税地を所轄する税務署
開業届は、納税地を管轄する税務署へ提出します。自宅を納税地にする場合は自宅所在地、バーチャルオフィスを納税地にする場合はその所在地を管轄する税務署が提出先です。
開業届はe-Taxまたは書面で提出できる
開業届はe-Taxでオンライン提出できるほか、書面を税務署へ持参または送付する方法でも提出できます。
開業後に自宅からバーチャルオフィスへ住所・納税地を変更する方法

開業後にバーチャルオフィスを契約した場合は、事業所の住所だけを変更するのか、納税地まで変更するのかで手続きが異なります。
事業所の住所だけを変更する場合
納税地を自宅のままにして、事業所をバーチャルオフィスへ移転する場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」で事務所等の移転を届け出ます。提出期限は国税庁の最新案内でご確認ください。
納税地も変更する場合
自宅からバーチャルオフィスへ納税地も変更する場合は、次回の確定申告書に変更後の納税地を記載することで変更できます。届出書の提出は必要ありません。
年の途中から税務署の書類をバーチャルオフィス宛てに受け取りたい場合は、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を提出することもできます。
バーチャルオフィスを開業届・納税地に使う際の注意点
バーチャルオフィスを開業届や納税地に使う前に、住所利用の条件や業種ごとの制限を確認しておきましょう。
開業届などの事業用住所として利用できるか確認する
契約するバーチャルオフィスが、開業届や請求書などの事業用住所としての利用を認めているかは、サービスによって異なります。プランによって利用できる範囲が異なる場合もあるため、契約前に公式サイトや利用規約を確認しておきましょう。
許認可が必要な業種はバーチャルオフィスの利用に制限がある
有料職業紹介業、古物商、宅地建物取引業など、事務所に一定の条件が求められる業種では、バーチャルオフィスの住所だけでは許認可の要件を満たせない業種もあります。開業届とは別の手続きなので、許認可が必要な業種は管轄する行政機関へ事前に確認してください。
青色申告承認申請書は開業届と提出期限が異なる
青色申告を希望する場合は、「所得税の青色申告承認申請書」の提出期限にも注意が必要です。原則はその年の3月15日まで、1月16日以降に開業した場合は開業日から2か月以内です。開業届とは期限が異なるため、一緒に提出しておくと手続き漏れを防げます。
個人事業主の開業届・納税地とバーチャルオフィスに関するよくある質問
開業届や納税地にバーチャルオフィスを利用する際によくある疑問をまとめました。
【まとめ】開業届は納税地に合わせて自宅かバーチャルオフィスの住所を選ぼう
バーチャルオフィスの住所は、事業所等として利用できる場合は開業届に記載できます。個人事業主の納税地は原則として自宅の住所地ですが、事業所等が別にある場合は、その所在地を納税地にする方法もあります。
自宅とバーチャルオフィスのどちらを納税地にするか決めたら、開業届の「納税地」と「上記以外の住所地・事業所等」を書き分けます。開業後に納税地を変更する場合も、次回の確定申告書に変更後の納税地を記載することで変更できます。
契約前には、利用予定のバーチャルオフィスが事業用住所として使えるか、自分の業種でバーチャルオフィスを利用できるかも確認しておきましょう。
\個人事業主向け6社を比較/

